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カヤック冒険談

大自然を相手にした楽しみには予期できないことがあります。2005年の夏、 観光開発セールスチームがキーナイ・フィヨルド国立公園へカヤック・ ツアーに行ったときの話です。一行はサニー入江を出発してまもなく、ザトウ クジラの群れに出会いまし た。

カヤックを止めてクジラを観察していましたが、やがて、クジ ラが潮を吹いて海面に浮いてきたものですから、6隻の2人乗りのカヤックはその流れに押し流されてしまいました。その2,3分後、クジラが海面上にジャンプするが見えました。静かになった海面上でその真中にあったカヤックが突然、水面から浮き上がってきました。そのカヤックに乗っていたカヤッカーはパドルを漕いでカヤックを 真っ直ぐにたて直そうとしたり、両手を開いてバランスを取ろうと必死にな りました。その時、回りでその光景をみていた他のカヤッカーは唖然としま した。なんとそのカヤックはクジラの背中の上に乗ってしまっていたので す。カヤックが転覆する寸前にクジラは右横にロールして、巨大な胸びれ を見せながら海底に潜っていきました。カヤック・グループの皆は次々に わけのわからない言葉を発し、しばらくは目の前でおこった出来事に呆然 としていました。リーダーのガイドにとっても、長いガイド経験の間で、あん なクジラの経験は初めてだったそうです。ガイドはクジラはわれわれのグ ループが近くにいたことを知っていて、一緒に遊びたかったのかもしれな いし、あるいは、われわれが近くにいたクジラを驚かせてしまったのかもし れない、と言っていました。

クジラがカヤッカーと一緒に遊びたかったのか、あるいは海面に浮上した 時に注意を怠っていたのか、その真相はわかりません。いずれにしても、ク ジラがカヤック・グループに被害を与えることはしなかった、ということで す。あれほど巨大な動物が、人間にアプローチをかけて、残していったの は水面に落したほんの小さな一滴の水滴の跡だけだったなんて、われわ れに想像の次元を超えています。

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